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目黒 義弘; 佐藤 淳也
デコミッショニング技報, (54), p.48 - 55, 2016/09
様々な放射性廃棄物、特に、流体状,粉粒体状の廃棄物は、廃棄体容器に固型化する必要があり、これまでに、セメント固化, アスファルト固化, プラスチック固化, ガラス固化などの方法が検討、採用されてきた。近年、セメント材に代わる新しい無機系の固型化材の検討が進んできている。これらはアルカリ活性材と称される固型化材であり、近年ではジオポリマーとして知られている。これら固型化材による固化体は、放射性廃棄物中に含まれる放射性元素や有害な重金属を固化体内に閉じ込め性, 高冷熱耐性, 高薬品耐性などが備わっており、将来有望な固型化材として注目されている。ジオポリマーの放射性廃棄物の固型化材への適用の多くは研究開発段階であるが、実際の放射性廃棄物の固型化に適用されるケースも増えてきている。本報告では、ジオポリマーの原子力分野での研究例や実用例について、特に福島第一原子力発電所において発生している放射性廃棄物への適用例について、簡単に解説する。
Li, Z.*; 大貫 敏彦; 池田 攻*
Materials, 9(8), p.633_1 - 633_17, 2016/08
被引用回数:26 パーセンタイル:75.01(Chemistry, Physical)ペーパースラッジを原料としたジオポリマー固化体を室温で調製し、短時間の浸出実験によりSrとCsの閉じ込め性能を評価した。作製したジオポリマー固化体は半結晶性で多孔質であった。浸出実験では、硝酸ストロンチウムまたは硝酸セシウムを固化体重量の1%となるように加えて調製した固化体を4mm以下に粉砕しpH4.01の緩衝液中に6時間入れた。固化体から約0.2%のSr、約1.3%のCsが浸出した。
佐藤 淳也; 鈴木 眞司; 榊原 哲朗; 目黒 義弘; 中澤 修
no journal, ,
非晶性アルミノシリケート粉体から形成されるジオポリマーは、福島廃棄物の汚染核種Cs, Srや機構廃棄物の有害重金属Pb, Cdなどをセメントよりも高性能に閉じ込める可能性を持っており、次世代の固型化材として有望である。そこで、これら元素を添加した固化試料の溶出試験を実施し、イオンの価数及びジオポリマーの組成をパラメータとする金属イオンの保持性能を調べるとともに、Siに着目した固体NMRスペクトルを解析することで、各元素の固定化機構を考察した。Cs, Srと比較してPb, Cdでは溶出性が低く、NMRスペクトルの解析結果からCs, SrとPb, Cdでは固定化様式が異なっていることが示唆された。
佐藤 淳也; 鈴木 眞司; 中川 明憲; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 中澤 修; 山下 昌昭; 佐藤 史紀; 助川 博文; 目黒 義弘
no journal, ,
本件では無機固型化材(普通ポルトランドセメント(OPC), 高炉スラグセメントB種(BB), ジオポリマー(GP))を用いて、多核種除去設備ALPSより発生する鉄共沈スラリー及び炭酸塩スラリーの模擬物の固化体を作製し、固化試料の圧縮強度や水浸漬による元素の浸出性への模擬廃棄物や固型化材の影響を調べた。圧縮強度試験では、GP試料と比較してOPC試料及びBB試料で高い強度が得られ、過剰な水分がGPの形成に悪影響を及ぼしたものと推察される。さらに、GP試料ではセメント試料と比較してスラリーによる硬化への影響が小さいことが示唆された。浸出試験では、OPC試料及びBB試料では模擬核種のCsやSrが溶出したのに対し、GP試料ではほとんど検出されなかった。CsやSrがGPの構造中に保持され不溶化したことにより浸出量が低くなったものと考えられる。今回の結果から、ALPSから発生したスラリーは、含有する成分による固化体の強度への影響が示唆されるものの、セメントやジオポリマーにより固化可能であることが示された。また、安定化処理方法によっては、スラリー中の水分が固化性状に悪影響を与えることが考えられるため、適切な処理方法を選択する必要がある。
佐藤 淳也; 榊原 哲朗; 目黒 義弘; 中澤 修
no journal, ,
低レベル放射性廃棄物の固化処理によく用いられているセメントの代替固化材として、元素の保持性能に優れた非晶質アルミノシリケート系固化材のジオポリマーについて性能評価を進めている。本件では、ジオポリマーの組成を変化(SiO/AlO: 3.05.0)させて価数の異なる金属イオンの保持性能を調べるとともに、Si-固体NMRにより各元素の固定化機構を考察した。測定及び解析の結果、Cs及びSrがジオポリマーのマトリクス構造をほとんど変化させず固定化されるのに対し、Pb及びCdはSiやAlと同様に構造中に取り込まれていることが示唆された。さらに、SiO/AlOが大きくなるほどマトリクス中のAlの比率が低下し負電荷が小さくなることから、元素が溶出しやすくなることが予想されたが、Cs及びSrのいずれもSiO/AlO: 4.0が最も溶出しにくくなった。
佐藤 淳也; 榊原 哲朗; 目黒 義弘; 中澤 修
no journal, ,
非晶質のアルミノシリケート粉体から形成されるジオポリマーは、福島廃棄物の汚染核種Cs, Srや機構廃棄物の有害重金属Pb, Cdなどをセメントよりも高性能に閉じ込める可能性を持っており、次世代の固型化材として有望である。これまでの研究から、添加したCsとPbの大部分がジオポリマー中で固定化されていることが示された。本研究では、ジオポリマーの構成成分であるSi, Al及びNaの比率をパラメータとした試料を対象に、陽イオン交換特性、表面構造及び結晶成分を分析することにより、ジオポリマーのマトリクス構造の変化が金属イオンの固定化性能に与える影響を調査した。
小野崎 公宏*; 佐藤 淳也; 鈴木 眞司*; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 中澤 修; 目黒 義弘; 見上 寿*; Platzka, M.*; Blazsekova, M.*
no journal, ,
福島第一原子力発電所における汚染水処理によって発生したスラッジの模擬物を、ジオポリマー固化材を用いて固化し、一軸圧縮強度や溶出特性等を調査した。ジオポリマー固化材は、チェコ共和国やスロバキア共和国で樹脂やスラッジ等の実廃棄物の固化に実績を持つ、Amec Foster Wheeler社のジオポリマー固化材"SIAL"を用いた。試験の結果、養生に伴い強度は向上し、28日目には約20MPaとなった。また、溶出試験を実施し、核種の保持性の高さを確認した。ジオポリマー固化材SIALが汚染水処理二次廃棄物の固形化材として、一定の適応性を持っていることを確認した。
佐藤 淳也; 入澤 啓太; 高岡 昌輝*; 中澤 修
no journal, ,
ジオポリマーは重金属を内部構造中に固定できる次世代の無機固化材である。低レベル放射性廃棄物の固型化材の候補として、これまでにジオポリマーが重金属を固定できることを確認したが、固定化のメカニズムや長期的な安定性は不明である。そこで本研究では、逐次抽出法と構造分析を組み合わせて評価することで、ジオポリマー中の重金属の化学形態を推定し、閉じ込め性を持つ固化材としてのジオポリマーの有効性を評価することを目的とする。今回は、加熱処理したSiAlゲルを原料として鉛を添加したジオポリマーを合成し、鉛がジオポリマーのマトリクス構造に及ぼす影響を評価した。
菊地 道生*; 山本 武志*; 大塚 拓*; 川戸 陸也*; 金田 由久*; 柴田 真仁*; 芳賀 和子*; 谷口 拓海; 大杉 武史; 黒木 亮一郎
no journal, ,
福島第一原子力発電所の汚染水処理により生じる廃棄物に対する、低温固化処理技術の適用性評価に利用するデータの取得を目的として実施した、セメント固化体およびAAM(アルカリ活性化材料)固化体の特性評価研究の概要を紹介する。
香西 直文; 宇都宮 聡*; 大貫 敏彦*
no journal, ,
Iは放射性廃棄物処分の安全評価において極めて重要な核種である。本研究では、セメント代替物質候補であるジオポリマーのヨウ素イオン閉じ込めに関する基礎的性能を調べた。ケイ酸ナトリウムジオポリマー固化体は陰イオン形ヨウ素を化学的に閉じ込める能力がないことがわかり、Iは固化体から容易に溶出する。IOの80%程度は閉じ込められ、それはポリマー構造中に物理的に閉じ込められたためである可能性が高い。ジオポリマーの作製に必要な水分量に溶かすことができるそれらのヨウ素陰イオンはわずかである。ヨウ素の陰イオンをLDHに吸着させて固化することによって、固化可能なヨウ素イオン量を大きく増やすことができた。
菊地 道生*; 山本 武志*; 大塚 拓*; 川戸 陸也*; 金田 由久*; 坂本 亮*; 芳賀 和子*; 角田 あやか; 大杉 武史; 曽根 智之; et al.
no journal, ,
福島第一原子力発電所の汚染水処理において生じる鉄共沈スラリーに対する、低温固化処理材料の適用性評価に利用するデータの取得を目的とし、各種固化配合で作製した模擬鉄共沈スラリー混合セメント固化体およびAAM固化体について、基礎特性の評価を行った。試験概要及び得られた結果の一部を紹介する。
大塚 拓*; 菊地 道生*; 山本 武志*; 川戸 陸也*; 蔵重 勲*; 角田 あやか; 大杉 武史; 曽根 智之; 黒木 亮一郎
no journal, ,
普通ポルトランドセメントの固化特性に悪影響を及ぼす化学種を含む廃棄物の処理などの観点で、利用可能性がある特殊セメントを調査するとともに、選定した特殊セメントによるALPSスラリー模擬粉体の固化試験、およびホウ酸等化学種影響の評価を行った。試験概要及び得られた結果の一部を紹介する。
山本 武志*; 菊地 道生*; 大塚 拓*; 川戸 陸也*; 蔵重 勲*; 角田 あやか; 大杉 武史; 曽根 智之; 黒木 亮一郎
no journal, ,
福島第一原子力発電所の汚染水処理で発生する水処理二次廃棄物に関して、実処理に適用可能な処理技術を抽出する手法の構築に資するため、国内外で放射性廃棄物への適用実績がある固化処理技術について、各種廃棄物への適用性評価に必要なデータの取得が必要である。本件では、ALPSスラリー(炭酸塩スラリー,鉄共沈スラリー)を低温固化処理した場合について、熱・乾燥負荷が固化体物性に及ぼす影響を評価した。
平木 義久
no journal, ,
福島第一原子力発電所で発生する水処理二次廃棄物の固化処理について、カリウム系アルカリ刺激材料(AAM)の適用可能性を示すことを目的とし、カリウム系AAMの物性試験を行った。物性試験では固化体の製作時に係る物性として粘度,硬化時間及び保管時に係る物性として圧縮強度,水素ガス発生量の把握を行った。また他の固化材料(Na系AAM・OPC固化体)との物性の比較により、カリウム系AAMが高い流動性を有するといった特徴が明らかになった。
平木 義久
no journal, ,
アルカリ刺激材料(AAM)は、粉体材料のメタカオリンとアルカリ溶液を練混ぜて作製される廃棄物固化の候補材料である。既往研究では、製造元の異なるメタカオリンを同一条件で練混ぜた場合に、AAMの硬化特性に差異が確認されている。硬化特性は廃棄物の混ぜ込みやすさや作業可能時間といった実処理の作業性に係る重要な特性である。そのため、材料を選定する際にどのような要因が硬化特性に影響を与えるのか把握する必要がある。本研究では、製造元の異なるメタカオリン間で粒度分布の傾向に差があった点に着目し、粉体材料の粒径がAAMの硬化特性に影響を与えていると予測した。粒径による影響を明らかにするため、ふるいと精密分級機によりメタカオリンを分級し、同一材料から粒度分布の異なる試料を用意した。これらのAAM硬化特性として振動式粘度計による粘度変化およびJISに基づく凝結試験によって硬化時間を測定した。
有阪 真; 加藤 友彰; 佐川 祐介*; Cantarel, V.
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所における汚染水処理により発生する水処理二次廃棄物の処理方法の確立が課題である。本研究では、Csを吸着した廃ゼオライトをNa系ジオポリマーにより固化処理する場合を想定し、ジオポリマー廃棄体のCs保持特性を調べるため浸出試験を行い、浸出性指数を得た。
香西 直文
not registered
【課題】pHが弱酸性から中性の範囲に制御され、強度を保持し、建築材料等の用途で好適に使用しうるジオポリマーを提供すること。 【解決手段】メタカオリナイト、活性アルミナ、水酸化アルミニウム、廃棄物焼却灰及び下水汚泥焼却灰などのジオポリマー原料粉末と、高濃度リン酸水溶液、及びアルカリ金属もしくはアンモニウムのリン酸塩又はアルカリ金属もしくはアンモニウムの水酸化物などのpH調整剤とを含む活性化剤とを混合し、その混合物を反応させて、ジオポリマーを製造する。
関 美沙紀; 中野 寛子; 藤田 善貴; 井手 広史
工藤 勇*; 末松 久幸*; Do Thi-Mai-Dung*; Yang Yaru*
【課題】放射性アルミニウムを含むアルカリ活性材料を固化する場合において、放射性アルミニウムの含有量を増やす技術を提供する。 【解決手段】固化体の作製方法は、アルミニウム合金をアルカリ金属の水酸化物溶液に溶解することによって、アルミニウム溶解液を生成する溶解工程(S1)と、原料としてのアルミニウム溶解液、活性フィラー、及びアルカリシリカ溶液を混錬することによって、アルカリ活性材料を生成する混錬工程(S3)と、アルカリ活性材料を型に充填して養生することによって、固化体を作製する固化工程(S4)を含む。